インディアンバガボンドバタフライフィッシュ

スズキ目 スズキ目/チョウチョウウオ科

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インディアンバガボンドバタフライフィッシュ

タイのシミラン諸島の透き通る海を潜っていると、ひときわ目を引くチョウチョウウオに出会いました。その優雅な姿と、どこか旅慣れたような落ち着いた雰囲気に、私はすぐに心を奪われました。その魚の名は、インディアン・バガボンド・バタフライフィッシュ(学名:Chaetodon decussatus)。英名の「Vagabond(放浪者、旅人)」という言葉が、まさにぴったりのチョウチョウウオです。


シミランの海を自由に泳ぐ旅人

インディアン・バガボンド・バタフライフィッシュは、その名の通りインド洋に広く分布するチョウチョウウオの仲間です。日本ではあまり見かけることがありませんが、シミラン諸島では比較的頻繁に出会うことができます。

彼らの特徴は、鮮やかな黄色をベースにした体に、斜めに走る濃い褐色のストライプ模様。そして、背びれと尻びれの縁に入る明るいオレンジ色のラインが、まるで夕焼け空のような美しさを添えています。つぶらな瞳と、少し突き出た口元も愛らしく、見ていると心が和みます。

私がシミランでこの魚に出会ったのは、水深15メートルほどのサンゴ礁の上でした。単独で、またはつがいでゆっくりと泳ぎ回り、サンゴの隙間や岩の表面をつついて餌を探しているようでした。警戒心はそれほど強くなく、私が近づいても慌てることなく、悠然と泳ぎ続ける姿は、まさに「旅慣れた賢者」のようでした。

なぜ「バガボンド」と呼ばれるのか?

その理由の一つは、彼らが特定の場所に固執せず、広い範囲を移動しながら生活しているからかもしれません。また、どこか物憂げで、落ち着いた佇まいが、旅の途中で一息ついている旅人を連想させるのかもしれません。

シミランの豊かな海で、このインディアン・バガボンド・バタフライフィッシュに出会えたことは、私にとって忘れられない思い出となりました。彼らの自由で優雅な泳ぎを見ていると、私もまた、広い海を自由に旅したくなるような気持ちにさせられました。


もしあなたがシミラン諸島を訪れる機会があれば、ぜひこの美しい「旅人」を探してみてください。きっと、その魅力的な姿に心を奪われることでしょう。


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